バイオリソースセンター長挨拶

所長  平成27年4月1日より、理化学研究所は、「国立研究開発法人」の新制度の下に業務を行うことになりました。理化学研究所はこれまで独立行政法人として運営されてきました。しかし、独立行政法人が実施機能を最大限発揮できるよう見直しが行われ、3種類の法人に分けることになりました。研究開発を主たる事業とする法人は、研究開発の長期性、不確実性、予見不可能性、専門性等の特性から、異なる取扱いの必要性があることが認識され、新たに「国立研究開発法人」と位置付けられることになりました。「国立研究開発法人」においては、中長期的な目標・計画に基づき、我が国の科学技術の水準の向上を通じた国民経済の発展その他の公益に資するため、研究開発の最大限の成果を確保することが目的となります。これまで独立行政法人としての効率的かつ効果的という目的、サービスその他業務の質の向上という目標から大きく改善され、評価主体も文部科学大臣となり、理化学研究所の本来の設置目的に合致した制度となります。国立研究開発法人制度の下、バイオリソースセンターの活動は、より適切に評価され、研究コミュニティ、そして国民へ還元されることになります。

 昨年来、STAP細胞問題等、我が国においてライフサイエンスに対する国民の信頼を損なう事例が続きました。文部科学省が研究不正を未然に防ぐためのガイドラインを制定し、それに対応して、理化学研究所においても規程等を定めました。現在、理化学研究所では、全ての職員を対象に教育、指導が行われています。特に若手の研究者や学生に対しては、個別に指導を行っています。国民の信頼を取り戻すため、今後も、真実を追究する科学において不正は全く受け入れることができないものであることを徹底的に浸透させることとしています。

 ライフサイエンスにおいて、研究不正とは質が全く異なりますが、研究材料(バイオリソース)とそれに付随する情報の不正確さに起因して、研究成果が第三者によって再現できず、科学への信頼を失う事態が頻発しています。これは、我が国固有の問題ではなく、全世界的な問題であり、平成26年6月に主要な学術雑誌の編集者、米国の研究助成機関の代表者、学術界のリーダーが共同で、生物医学研究の再現性を確実なものとするガイドラインを提案しています。その一つとして、研究に用いたバイオリソースをバイオリソースセンター等を介して研究者間で共有すること、また、バイオリソースの供給源、株名(系統名)、特性、操作遺伝子の詳細、微生物汚染の有無等を発表論文に記載することを求めています。このことは、バイオリソースセンターの果たすべき役割とバイオリソースセンターへの期待が大きくなったことを意味しています。さらに、世界で研究に用いられているバイオリソースの約10%に汚染や取り違え等の不具合が存在していることは良く知られた事実です。不具合のあるバイオリソースの存在は、研究者コミュニティ、政府、研究助成機関にとっては決して誇れることでない大変不都合な事実です。バイオリソースセンターは品質管理を厳格に行い、不具合を排除したバイオリソースを提供することによって、第三者による研究の再現性を向上させ、研究の効率化を高め、国民のライフサイエンスに対する信頼を取り戻すことに大きく貢献できると考えています。品質管理についての責務を果たし、研究コミュニティのみならず国民へも発信し、真正なバイオリソースの利用の重要性についての啓発活動を強化することとしています。

 バイオリソースセンターは、引き続き、当センターの3つのモットーである、「信頼性」、「継続性」、「先導性」を事業の柱に世界最高水準のバイオリソースを整備、提供し、ライフサイエンスの発展、ひいては国民の生活・福祉の向上と人類の持続的発展に貢献することを目指しています。国民の生活・福祉の向上と人類の持続的発展に貢献することを目指しています。国民、研究コミュニティの皆様のご理解とご支援を宜しくお願い申し上げます。

ホーム | お問合せ
Copyright (c) RIKEN (The Institute of Physical and Chemical Research), Japan. All rights reserved.