Ci/GLI
 
図1
<図1>

1.Gli3活性はコリプレッサーSki/Snoによって制御される
 コアクティベーターCBPの項で記載しているように、ショウジョウバエ転写因子Ciは有名なhedgehogシグナル伝達経路で機能しています。Ciの動物細胞ホモログGli3 (Glioblastoma 3)はもともと脳腫瘍において遺伝子増幅のため発現が上昇している遺伝子として分離されたもので、発がんや形態形成の制御に関与しています。Gli3はCiと同様に、メタルフィンガー構造を含むDNA結合ドメインを有し、そのN端側は転写抑制ドメインを、そしてC端側にCBPと結合する転写活性化ドメインを持っています。Gli3はCiと同様に、DNA結合ドメインのすぐC端側で切断され、短いフォームがリプレッサーとして、また全長フォームはアクティベーターとして機能します。私達はGli3に結合する因子を探索する過程で、コリプレッサーSki/SnoがGli3のN端側に結合することを見い出しました。野生型MEF(Mouse embryonic fibroblasts)ではGli3は強いリプレッサー活性を示しますが、Ski KO MEF ではGli3のリプッレッサー活性は見られません(図1左)。またGli3の転写活性化能もSkiによって抑制されます。さらに、Gli3のheterozygous mutant は過剰肢を示す Xt(extra-toe)mutant として有名ですが、このmutant に one copy のSki mutationを導入すると、より強い過剰肢の表現型が観察されました(図1右)。このように、Ski/SnoはGli3の制御因子として機能することが示されました。

2.DbrはCi蛋白質のユビキチン化と分解を制御する因子である

図2
<図2>
 私達はCiに結合する因子を探索する過程で新たな因子を同定し、Debra (Dbr)と名付けました (Dev. Cell, 2003)。DbrはWing discの前側において、Ciが発現する領域の外側で帯状に発現しています(図2右)。一連の遺伝学的および生化学的解析から、DbrはendosomeのMVB(Multivesicular body)に局在し、Ciをポリユビキチン化して、Lysosome に運搬して、分解する役目を果すことが分かりました(図2左)。この場合、ユビキチンはCellular trafficking のマーカーとして機能しています。Dbrは転写活性化因子として機能するCi-155の分解を選択的に誘導し、リプレッサーとして機能するCi-75には作用しません。このため、私達はこの因子をDebra (Determiner of breaking down of Ci activator) と名付けました。以前から、hedgehogによって活性化される遺伝子の発現領域がA/P境界から一定の幅に制限されるメカニズムは不明でした。Dbrの同定と、その発現パターンの解析によって、この現象ののメカニズムが明らかになりました、このようにDbrはユビキチン化制御因子が形態形成の制御に関与する興味深い例です。


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