入室希望の方へ
石井俊輔 

 当研究室は若い人達(大学院学生及びポストドク)の参加を大歓迎致します。研究室の運営に関して、私は以下のような方針を持っています。

  1. 秀才である必要はありません:当研究室への参加を希望する人は秀才である必要はありません。多様な人材を求めていますので、研究への情熱には自信のある方、体力だけは人に負けない方、アイデアには自信のある方等々、を大歓迎致します。
  2. 研究スタイル:私は若い人達が歯車になってしまうような工場的なプロジェクトは好みません。各人が「ストーリーを構成できるような研究」を遂行して欲しいと願っています。
  3. 真似から始まる:どんな優秀な人でもいきなり色々な実験をこなし、すばらしいデーターを得ることは不可能です。実験手法、プロトコールの書き方、研究のストラテジーなどの多くの事は周囲の先輩達に教わり、真似ることから始まります。研究生活スタートの時期には「積極的に上手に真似て」基本となる形を効率良くマスターして下さい。そのためには教えてくれるのを待っているだけでは不十分で、先輩達から技術やコツをもぎ取る位 の気持ちも必要です。
  4. 実験は単純作業:どんな仕事でもそうだと思いますが、実験の90%は材料の調製やアッセイなど単純作業の繰り返しです。エキサイティングなデーターを目指して、緊張感を維持しつつ、この単純作業を計画的に遂行できるようになることが、プロの研究者への第一歩です。
  5. 研究のアイデア:実験の過程で、独自のアイデアが閃くことがあります。私はそのようなアイデアが他人のアイデアと異なっていればいるほど大事にして欲しいと思います(もちろん自分のしっかりとしたデーターに基づいていることが前提ですが)。本当に新しいアイデアは、他人のものとは当然懸け離れていますから。
  6. 多様な研究手法への対応:実験テクノロジーの進歩は日進月歩です。現在、結晶構造解析やノックアウトマウスの作製・解析を含む多様な手法が用いられています。若い人達が今後さらに多様な研究手法に対応するためには、すべての実験手法を経験することが必要なのではなく、自分が本当にその手法を必要とする時に、気後れすることなく取り入れるための基礎能力を身に付けることが重要です。
  7. セミナー:将来プロの研究者になるためには、データーを的確に理解し、自分の考えを論理的に発表し、議論できる力を身に付けることが不可欠です。特に若い人達にとってこの訓練は非常に大切です。私は毎週1回のJournal Club (セミナー)でのプレゼンテーションによって、この訓練を行うことを重視しています。
  8. 論文発表:いくら良いデーターを出しても論文の形で公表しなければ価値はありません。単純にNature, Cell, Scienceなどに掲載される論文がすべて良いとは思いませんが、Impact factor の高いジャーナルは多くの人に読まれることも事実です。そのため、これらのジャーナルに論文を発表するためには厳しいスペース獲得競争に勝ち抜かねばなりません。若い人達が論文を納得できるものに仕上げて、読まれるジャーナルに発表するようチャレンジされることを望みます。この点に関して、私は当研究室からのこれまでの発表が充分満足できるものとは考えていません。今後は若い人達と一緒にさらに頑張って行きたいと考えています。
  9. 出身大学・学部の多様性:当研究室は色々な大学の出身者を受け入れ、その出身学部も、理学部、薬学部、農学部、工学部、医学部と多様です。各人のバックグラウンドが色々なため、ひとつの現象の見方も多様になり、それが研究に深みを与えてくれます。
  10. Motivationの維持:長い研究人生に好不調の波は必ずありますが、くじけずに仮説を立て直して実験すれば、いつかは面白い結果が得られます(私が学生時代に言われたことですが)。優秀な研究者はポジティブな人が多いようです。良い結果が得られない時には、仮説と実験をすぐに組み立て直し、自然と必死に研究に没頭します。本人は結構楽しんでいるのに、ハードワーカーと呼ばれたりもします。他人の好不調に関わらず自分の研究に集中できること、自分がうまく行っても傲慢にならず、うまく行かない時でもひがまず、自分をしっかり持って気楽にポジティブに行くことはとても重要です。

若い人達の参加は大歓迎ですので、何時でも気軽に下記へ御連絡下さい。
E-mail: sishii@rtc.riken.jp
Tel: 029-836-9031