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(独)理化学研究所 筑波研究所 バイオリソースセンター

リソースとゲノム 1:カエルの子はなぜカエルになる?
(常陽新聞連載「ふしぎを追って」)

 2001年、理化学研究所は、つくば市にバイオリソースセンター(BRC)を立ち上げ、バイオリソース(生物遺伝資源。実験用の生物)の収集と提供を行っています。この理研BRCシリーズの最初の4回は、なぜバイオリソースが研究にとって重要なのか、どのようにバイオリソースを収集整備開発しているのか、「ゲノム」をキーワードにしながら紹介します。

新聞やテレビでよく見かける「ゲノム」「DNA」そして「遺伝子」。よくいっしょに使われます。何が違うのでしょう?「ヒトゲノム計画」によってヒトの成り立ちを記した設計図がすべて解読されたと言われていますが、設計図というのはどういうことでしょう?解読されて何がわかったのでしょうか?

ヒトゲノムという言葉で表されるように、それぞれの生物は固有の「ゲノム」をもっています。カエルはカエル独自のゲノムを持ち、マウスはマウスのゲノムをもちます。そして、アメーバや菌のような単細胞生物から、動物はもちろん植物にいたるまですべての生物が、それぞれ固有のゲノムを持っていて、親から子に、また細胞から細胞に正確に、その「設計図」が複製され伝わっていきます。だから「カエルの子はカエル」になるのです。

このゲノムを作っている物質が「DNA」です。デオキシリボ核酸の頭文字を取ってDNAと呼んでいます。「水」を化学的に「H2O」と記載するのと同じように、ゲノムを化学的に記載する言葉が「DNA」です。すなわち水はH2Oという最小単位の集まりであるように、ゲノムはDNAという分子からできています。

では「遺伝子」とは何でしょう。エンドウマメが丸くなるか、しわになるか、また背が高くなるか低くなるか、といった親から子に伝わって遺伝する形質を決める「因子」を、18 世紀半ばすぎにメンデルが発見しました。その後、20 世紀に入ってこの「因子」のことを「遺伝子」と呼ぶようになりました。ゲノムは親から子に正確に複製され受け継がれていきます。そして、メンデルが発見した遺伝子も、親から子に正確に受け継がれていきます。次回は、この「ゲノム」「DNA」「遺伝子」の関係をさらに掘り下げてみましょう。

分析機器と農薬の標準品(写真)

( 新規変異マウス研究開発チーム 権藤洋一)

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