前の記事 | 目次 | 次の記事
(独)理化学研究所 筑波研究所 バイオリソースセンター

微生物リソース:健康と環境に役立つ微生物
(常陽新聞連載「ふしぎを追って」)

 微生物というと、不潔なバイキンや病気を引き起こす悪者を連想される方が多いかもしれません。

 微生物はとても小さい生物で肉眼では見えませんが、実は地球上に最も種類が多く、最も生存量の大きい生物です。そしてそこら中にいて、時に人の役に立ったり、地球の環境を支える大切な役割をしています。
 例えば、微生物が作りだすさまざまな物質は、
   @病気の原因となる微生物をやっつける抗生物質や
   A微生物とは直接関係ない病気の治療薬など、
いろいろな目的の医薬品として利用されています。

 みそやしょうゆ、納豆、かつお節、漬け物、ヨーグルトなど、毎日口にする食品も、微生物の働きで作り出されているものがたくさんあります。ふわふわした柔らかいパンも、イースト菌(酵母)がないとつくれません。

 実は皆さんの腸の中や皮膚にはたくさんの微生物がいて、栄養や健康増進に大事な役割を果たしています。健康な人にいる微生物は、病気を引き起こす微生物の侵入を防ぐとも言われています。ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、便秘の改善などの整腸作用や、アレルギーの改善など免疫のバランスを整える働きがあるとされています。

 微生物は、地球上のいたる所でさまざまな物質を分解したり、変換することによって生きています。動物の遺体や植物の枯れ葉や倒木が土にかえるのも、微生物の働きによります。こうした微生物の活動の結果、地球上の物質循環が成立しています。温暖化やエネルギーなど環境への問題意識が高まっている今、地球環境を支える微生物の働きに注目する必要があります。

 環境にやさしい製品や技術にも、微生物が利用されています。容易に分解されて土にかえるプラスチックの生産も、微生物が作り出した物質が利用されています。生活排水をきれいにしてくれる浄化施設でも、微生物が働いてくれています。

 植物の根やその周辺にはたくさんの微生物がいて、植物の栄養や生育に大切な役割をするなど、農作物の増産のためにも微生物の重要性は高まっています。

 このように人の生活や健康、環境と微生物は、大変密接な関係にあります。微生物のことをよく知って、微生物と共に上手に暮らし、その能力を最大限に利用していくことは、ますます重要になってきています。  当センターでは、さまざまな能力を持った多種多様な微生物リソースを整備して、微生物を理解する研究や利用するための研究に役立てていただいています。

 

写真)Lactobacillus属乳酸菌が寒天培地上に作ったコロニー

 

写真) 細胞染色後の顕微鏡観察像

(微生物材料開発室 大熊盛也)

前の記事 | 目次 | 次の記事
Copyright (c) RIKEN (The Institute of Physical and Chemical Research), Japan. All rights reserved.